7時15分に起きる。いつもより若干遅いのはきっと、昨日他人のベッドを濡らしてしまった罪の意識で、眠りが浅くなっていたからだろう。たぶん。シャワーを浴びて、ひげを剃り、洗濯をする。今日は濡らさないよう気を付ける。
宿には当初2泊の予定と伝えていたので、2階のフロント(泊まっている部屋は3階)へ行き、もう一泊できるか確認する。ちなみにThe Naughty Squirrelはオーストラリア人が経営しているホステルだ。フロントの豪州美人に尋ねる。
「もう一泊したいんだけど、大丈夫?」
「あぁ、ごめんなさい。無理なの…。」
(えっ)
「なんてね。もちろんOKよ。」
美人は人生に余裕があるのだ。
9時過ぎに宿を出る。
リーガ最終日の観光は少し趣向を変えて、旧市街の外側を歩く。旧市街は基本的に石畳であるのだけれど、その外はアスファルトである。
まずは宿でおすすめされた安いカフェ「LINO」へ。ビュッフェスタイルで好きな品物を取る。
一昨日の同じくビュッフェレストラン「Alus Seta」での敗北を踏まえ、「落ち着け。焦るな。」と自分に言い聞かせながら、料理をピックアップする。朝の早い時間帯だったので、人が少ないのが幸いであった。
結果選んだのは、オレンジジュースとサラダ、謎のパイにデザート。合わせて2.8Ls。
謎のパイの中身はひき肉。
久々に食べるオリーブはやはりうまくて、デザートはパサパサしていた。デザートで美味しい物を食べたければ、東京のデパ地下に行くのが一番いい。
店を出て、アルベルタ通りを目指す。
この通りには個性的な「ユーゲンシュティール建築」が立ち並んでいるそうだ。「ユーゲントシュティール」とは、1900年ぐらいに幅広い分野で流行した芸術様式で、ゴテゴテでデコデコな装飾に特徴が見られるそうだ。「大改造!!劇的ビフォーアフター」をたまに観るなど、建築に造形の深い僕としては、見逃すわけにはいかない。
アルベルタ通りを目指す途中で、救世主生誕大聖堂と国立美術館のいかつさに圧倒される。こんな猛者どもがいるなかで、日本の国立西洋美術館を世界遺産に推す人々の勇気を讃えたいと思う。
ほどなくしてアルベルタ通りに到着。
なるほどデコデコした建物が並んでいて、くぼみにはホコリが溜まりそうだと感じられた。建物には人面がやたら刻み込まれていたけれど、IXYの顔認識は起動しなかったのは、カメラを褒めるべきだろうか。
アルベルタ通りを後にして、旧市街の北側にある各所をめぐる。
まずは聖ヤコブ教会へ。もうこの頃になると、同じような名前の教会が多すぎてどれがどれだかわからない状態である。これがいわゆる「迷える子羊」という状態なのだろう。聖ヤコブ教会は照明の演出が効果的だった。
教会を出たすぐ隣に、「Lines & Peace」という店があったので、家族からリクエストされていたリネンの巻物を買う。ちなみにお土産はなるべく「Souvenir」と書いてある店は買わないようにしている。日本のインチキ臭い土産物屋でインチキ臭い土産物を品定めしている外国人旅行者の姿をは悲しすぎるから。
次は「三人兄弟」へ。古い建物だそうだ。広さや装飾を見るかぎり、真ん中の子が要領よく生きるのは、古今東西同じであるように感じる。
次いでリーガ城と城壁へ。次いで火薬塔へ。このあたりになると半ば義務感で回っているような気もしないでもない。
一通り観光をこなしたので、いったん宿に戻る。途中、マリオブラザーズに遭遇。
部屋に戻ると、下のベッドの住人がいなくなっていた。アイツめ、サヨナラも言わずに去りやがって……。
僕が使っていた上のベッドも片づけられていたので、念願の下ベッドに移る。
荷物の整理をしてから、翌日以降の予定を検討し、明日リトアニアの首都ヴィリニュスに直行することに決める。チケットは明日買ってもよいのだけれど、現地通貨が余り気味なので、先に買ってしまうことにした。
いつの間にか外は雨が降っていた。雨に打たれつつバスターミナルへ行き、翌日8時30分発のビリニュス行きを8.6Lsで購入した。
雨では散歩もできないので、コーラを買って宿に戻ってゴロゴロする。ゴロゴロしながら書いた日記が現在に追いついたころ、いつの間にか雨音がやんでいた。
19時からのバレエ公演を前に夕食を取る。
昨日の夕食がトラウマになっているので、一昨日に行ったPeterGaillisへ。失敗の後にもう一度挑戦できる人が真に勇気のある人なのだろうなぁなどと思う。
バレエの途中で寝る危険性を感じつつも、恒例となったビール(0.8Ls)を頼む。
調味料入れにキッコーマンを発見してテンションが上がりつつ、つけ合わせのパンをつまむ。バターはガーリック入り。
今日はサーモンのサラダ(3.95Ls)を頼んでみる。タリンで食べたサーモンの味が忘れられずに頼んだけれど、量・質ともに今一つ。単純に過去が美化されているだけかもしれない。
メインは豚肉の何か(25.25Ls)。
ポークステーキの上にチーズが載り、マッシュルームのソースをかけて食べる。豚肉をナイフで切ってみると、なんと、中にはハムが挟んである。肉で肉を挟むとは、完全にデブの発想である。狩猟民族恐るべし。
18時になったので、オペラ座へ向かう。入口にポスターがあったので見てみると、フルーレを掲げる男たちの姿が。どうやら「TRIS MUSKETIERI」は『三銃士』であるようだ。『三銃士』なのに四人いる理由は不明。(後日小説を読み、判明。)
タイトルは知っていても、あらすじがわからない。教養はあらまほしものである。事前に掲示を見ておけばネットであらすじを調べることもできたのだけれど。
生まれ変わったら教養のある人になることを誓いつつ、中へ。入口ではスーツを着たイケメンが待機。チケットを見せて、自分の席がある「2nd Balcony」までは階段で登る。「2nd Balcony」というから、2階にあるかと思いきや、4階ぐらいにあった。よく考えれば、バルコニーの2個目だから2階であるはずがないのだ。
クロークでユニクロの3WAYコートを預けて、開場までバーカウンター(?)のあるスペースで待機する。あたりを見回すと、男性はほとんどスーツを着ている。やはりそれなりの格好で来ているようだ。
ちょっと自分の着ているライトグリーンのウィンドブレーカーが恥ずかしかったので、脱いで手に持つ。脱いだところで中に来ているのはフリースだけれども、黒なのでまだマシだろう。
クロークの前には大きな鏡があり、そこでは小さな女の子が髪を結んだりして、おめかししているのがとても可愛らしかった。
開演10分前にようやく客席の扉が開き、中へ。大きなシャンデリアと天井の装飾が見事だった。席もそう遠くはない。思ったより舞台の幅が狭いような印象を受けた。
そして開演。人生初の生バレエ。
ものすごく良いものを観た。
美しく躍動するバレエダンサーたちの肢体は、鍛練により完成された「不自然」な動きなのだろうけど、その動きこそが本来あるべき肉体の動きであるような感じがした。人間の動きのイデアがそこにある!
4Lsでこんな上質のエンターテイメントが観られるとは、羨ましい環境である。毎週観たい。
残念だったのは、開演中の撮影は禁止されているにもかかわらず、写真を撮っている輩が所々にいたことだ。
下衆な輩は国を問わずいるものだと感じた。勝手に写真を撮るヤツや、他人のベッドを濡らして謝らないヤツが跋扈するこの世の中で僕らは生きていかなければならない。
休憩を挟んだ2時間の公演が終了。リーガ最後の夜は素晴らしい夜となった。
宿には当初2泊の予定と伝えていたので、2階のフロント(泊まっている部屋は3階)へ行き、もう一泊できるか確認する。ちなみにThe Naughty Squirrelはオーストラリア人が経営しているホステルだ。フロントの豪州美人に尋ねる。
「もう一泊したいんだけど、大丈夫?」
「あぁ、ごめんなさい。無理なの…。」
(えっ)
「なんてね。もちろんOKよ。」
美人は人生に余裕があるのだ。
9時過ぎに宿を出る。
リーガ最終日の観光は少し趣向を変えて、旧市街の外側を歩く。旧市街は基本的に石畳であるのだけれど、その外はアスファルトである。
まずは宿でおすすめされた安いカフェ「LINO」へ。ビュッフェスタイルで好きな品物を取る。
一昨日の同じくビュッフェレストラン「Alus Seta」での敗北を踏まえ、「落ち着け。焦るな。」と自分に言い聞かせながら、料理をピックアップする。朝の早い時間帯だったので、人が少ないのが幸いであった。
結果選んだのは、オレンジジュースとサラダ、謎のパイにデザート。合わせて2.8Ls。
謎のパイの中身はひき肉。
久々に食べるオリーブはやはりうまくて、デザートはパサパサしていた。デザートで美味しい物を食べたければ、東京のデパ地下に行くのが一番いい。
店を出て、アルベルタ通りを目指す。
この通りには個性的な「ユーゲンシュティール建築」が立ち並んでいるそうだ。「ユーゲントシュティール」とは、1900年ぐらいに幅広い分野で流行した芸術様式で、ゴテゴテでデコデコな装飾に特徴が見られるそうだ。「大改造!!劇的ビフォーアフター」をたまに観るなど、建築に造形の深い僕としては、見逃すわけにはいかない。
アルベルタ通りを目指す途中で、救世主生誕大聖堂と国立美術館のいかつさに圧倒される。こんな猛者どもがいるなかで、日本の国立西洋美術館を世界遺産に推す人々の勇気を讃えたいと思う。
ほどなくしてアルベルタ通りに到着。
なるほどデコデコした建物が並んでいて、くぼみにはホコリが溜まりそうだと感じられた。建物には人面がやたら刻み込まれていたけれど、IXYの顔認識は起動しなかったのは、カメラを褒めるべきだろうか。
アルベルタ通りを後にして、旧市街の北側にある各所をめぐる。
まずは聖ヤコブ教会へ。もうこの頃になると、同じような名前の教会が多すぎてどれがどれだかわからない状態である。これがいわゆる「迷える子羊」という状態なのだろう。聖ヤコブ教会は照明の演出が効果的だった。
教会を出たすぐ隣に、「Lines & Peace」という店があったので、家族からリクエストされていたリネンの巻物を買う。ちなみにお土産はなるべく「Souvenir」と書いてある店は買わないようにしている。日本のインチキ臭い土産物屋でインチキ臭い土産物を品定めしている外国人旅行者の姿をは悲しすぎるから。
次は「三人兄弟」へ。古い建物だそうだ。広さや装飾を見るかぎり、真ん中の子が要領よく生きるのは、古今東西同じであるように感じる。
次いでリーガ城と城壁へ。次いで火薬塔へ。このあたりになると半ば義務感で回っているような気もしないでもない。
一通り観光をこなしたので、いったん宿に戻る。途中、マリオブラザーズに遭遇。
部屋に戻ると、下のベッドの住人がいなくなっていた。アイツめ、サヨナラも言わずに去りやがって……。
僕が使っていた上のベッドも片づけられていたので、念願の下ベッドに移る。
荷物の整理をしてから、翌日以降の予定を検討し、明日リトアニアの首都ヴィリニュスに直行することに決める。チケットは明日買ってもよいのだけれど、現地通貨が余り気味なので、先に買ってしまうことにした。
いつの間にか外は雨が降っていた。雨に打たれつつバスターミナルへ行き、翌日8時30分発のビリニュス行きを8.6Lsで購入した。
雨では散歩もできないので、コーラを買って宿に戻ってゴロゴロする。ゴロゴロしながら書いた日記が現在に追いついたころ、いつの間にか雨音がやんでいた。
19時からのバレエ公演を前に夕食を取る。
昨日の夕食がトラウマになっているので、一昨日に行ったPeterGaillisへ。失敗の後にもう一度挑戦できる人が真に勇気のある人なのだろうなぁなどと思う。
バレエの途中で寝る危険性を感じつつも、恒例となったビール(0.8Ls)を頼む。
調味料入れにキッコーマンを発見してテンションが上がりつつ、つけ合わせのパンをつまむ。バターはガーリック入り。
今日はサーモンのサラダ(3.95Ls)を頼んでみる。タリンで食べたサーモンの味が忘れられずに頼んだけれど、量・質ともに今一つ。単純に過去が美化されているだけかもしれない。
メインは豚肉の何か(25.25Ls)。
ポークステーキの上にチーズが載り、マッシュルームのソースをかけて食べる。豚肉をナイフで切ってみると、なんと、中にはハムが挟んである。肉で肉を挟むとは、完全にデブの発想である。狩猟民族恐るべし。
18時になったので、オペラ座へ向かう。入口にポスターがあったので見てみると、フルーレを掲げる男たちの姿が。どうやら「TRIS MUSKETIERI」は『三銃士』であるようだ。『三銃士』なのに四人いる理由は不明。(後日小説を読み、判明。)
タイトルは知っていても、あらすじがわからない。教養はあらまほしものである。事前に掲示を見ておけばネットであらすじを調べることもできたのだけれど。
生まれ変わったら教養のある人になることを誓いつつ、中へ。入口ではスーツを着たイケメンが待機。チケットを見せて、自分の席がある「2nd Balcony」までは階段で登る。「2nd Balcony」というから、2階にあるかと思いきや、4階ぐらいにあった。よく考えれば、バルコニーの2個目だから2階であるはずがないのだ。
クロークでユニクロの3WAYコートを預けて、開場までバーカウンター(?)のあるスペースで待機する。あたりを見回すと、男性はほとんどスーツを着ている。やはりそれなりの格好で来ているようだ。
ちょっと自分の着ているライトグリーンのウィンドブレーカーが恥ずかしかったので、脱いで手に持つ。脱いだところで中に来ているのはフリースだけれども、黒なのでまだマシだろう。
クロークの前には大きな鏡があり、そこでは小さな女の子が髪を結んだりして、おめかししているのがとても可愛らしかった。
開演10分前にようやく客席の扉が開き、中へ。大きなシャンデリアと天井の装飾が見事だった。席もそう遠くはない。思ったより舞台の幅が狭いような印象を受けた。
そして開演。人生初の生バレエ。
ものすごく良いものを観た。
美しく躍動するバレエダンサーたちの肢体は、鍛練により完成された「不自然」な動きなのだろうけど、その動きこそが本来あるべき肉体の動きであるような感じがした。人間の動きのイデアがそこにある!
4Lsでこんな上質のエンターテイメントが観られるとは、羨ましい環境である。毎週観たい。
残念だったのは、開演中の撮影は禁止されているにもかかわらず、写真を撮っている輩が所々にいたことだ。
下衆な輩は国を問わずいるものだと感じた。勝手に写真を撮るヤツや、他人のベッドを濡らして謝らないヤツが跋扈するこの世の中で僕らは生きていかなければならない。
休憩を挟んだ2時間の公演が終了。リーガ最後の夜は素晴らしい夜となった。