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2011/02/14

バルト三国旅行記(2/9)|タリン。冬。

 目が覚めて時計を見ると7時15分。シャワーを浴びて、ひげを剃る。シャワーからお湯が出るのか心配であったけれど、流石にちゃんと使えたので何よりである。むしろ出なかったら今朝凍死していた。
 共有スペースで日記を書いていると、世界一周男子がやってきた。せっかくなのでこれまで回った中で良かった国はどこか聞いてみると、グルジアとアルメニアだそうだ。景色も綺麗で料理もおいしいらしい。これまで旅行先として考えたこともなかったけれど、検討してみたいと思う。また、イランも良かったらしく、現地のオヤジに誘われて家に二泊したらしい。オヤジは仕事を休んで街中を案内してくれたとのこと。いいのかオヤジ。

 9時になったので街にくり出す。このタリンという街は、バルト三国の一番北にあるエストニアの首都で、城壁に囲まれた旧市街が「タリン歴史地区」として世界遺産に登録されている。旧市街の面積が直感的に分かるように、以下に柏駅との比較を載せておいたので、参考にしていただければと思う。(参照
 まずは旧市街の南西に位置する、トームペアの丘にある展望台のほうへ歩いてみる。新しい街に来たらとりあえず高いところに登るのがたしなみというものだろう。
 外に出てすぐに気づいたことがある。朝は、夜よりも寒い。帽子をかぶっていないので、耳がちぎれそうだ。滞在中、天気予報を一切見ていないので、具体的な温度はよく分からないのだけれど、おそらく-10℃~0℃の間ではないかと思われる。また、雪が積もった道路の上には黒い小さな粒が巻いてあり、これはおそらく不凍剤か何かなのだろう。BB弾にしては消費量が多すぎる。







 展望台の前に、エストニア本土最古の教会だという「大聖堂(トームキリク)」に立ち寄る。入場は無料だけれども、心ばかしの寄付をしてみる。これで死後は安泰だろう。残念ながら内部は撮影禁止。大聖堂をはじめ、タリンにある教会のほとんどが内部の撮影禁止なのがさみしい限りである。



 大聖堂を出て、今度はその正面にあるロシア正教の教会、「アレクサンドル・ネフスキー聖堂」へ。僕は以前、あのタマネギ屋根の教会を愛でにロシアへ行こうとして断念した経緯があるので(参照)、ロシア正教会がみられるのは嬉しい。
 中に入るとちょうど朝のミサ(?)をしている最中であった。20人~30人くらいの人々が祈りの声に合わせて繰り返し十字を切っていた。低い音で鳴り響く祈りの声が荘厳な雰囲気を感じさせた。音響効果抜群である。


 アレクサンドル・ネフスキー聖堂を出て、いよいよ展望台へ。空模様がもう一つだけど、赤屋根と白い雪のコントラストはなかなか見事だ。




 展望台から戻る道すがら、タリンの街を囲む城壁の中にある城壁カフェを発見したので中へ。カフェに入る時点で入場料2ユーロが発生。カフェではホットチョコレート(3.5ユーロ)を飲みたかったけれど、20ユーロ札を渡そうとしたら釣りがないと言われたので、やむなく手持ちの小銭で買うことのできる紅茶(2ユーロ)を注文。コーヒー風味がどうのこうのとかいう紅茶らしい。朝方の寒さで寒さにやられていた体が温まる。






 着いて二日目ではあるけれど、タリンには今日までしかいない(翌日の朝に発つ)予定なので、お土産を買う。ハンドメイドの雑貨を扱う店であまりにもかわいくないフェルトの人形が売っていたので、思わず購入。無駄に15ユーロもする。旅行中の変なテンションじゃないと買えない逸品だ。間違っても「日本で売っているよ」などという情報を僕の耳には入れないでいただきたい。


 旧市街のなかを適当に歩き回る。オフシーズン&週末で教会などの施設がガンガン閉まっているのが少し切ないけれど、世界遺産の街並みは美しい。途中、晴れ間が出てきたので、もう一度展望台に登って写真を撮ってみたりもした。







 少し旧市街を離れ、近くにあるショッピングセンター「Viru Keskus」へ入ってみる。


 僕は海外旅行に行くたびに、現地のサッカー代表ユニフォームを買って帰るのが恒例にしている。スポーツショップで探すけれど見つからなかった。あまり人気がないのだろうか。ショッピングセンターには、ZARAやTHE BODY SHOP、LOCCITANEなどが入っていた。世界中どこにでもあるな。

 自分のお土産が見つからなかったので、やむなく他人へのお土産を探す。「Estonian Handicraft House」というとてもわかりやすい店で、毛糸の手袋を購入。また、別の店では、耳つきの毛糸の帽子を買った。店の人が帽子を袋に入れようとしたので、それを止めてタグを切ってもらう。耳が寒かったので、そのまま被っていくことにした。
 あとは地図を見ないでひたすらに旧市街のなかを歩き回る。1~2時間ほど歩き回ると、地図を見なくても大方の方向感覚と位置がわかるようになる。これですっかりタリン通である。

 16時ごろにお腹が空いてきたので、タリン最初で最後のディナーを食べる店を探す。せっかくなのでエストニア料理かつ地元の人向け店に入りたいと思ったけれど、よく考えたら地元の人は家にエストニア料理を食べるのだから、そんな店は存在しないような気がする。
 『歩き方』も参考にするのだけど、メイン料理が20ユーロ程度とそこそこ高い。色々な店に行きメニューを眺め、間違ってイタリアンレストランに入りそうになりながら探し続けると、「Von Krahli Aed」という店を発見。メインが10ユーロと比較的お安いので入ってみる。
 雰囲気の良い店なので、何か落とし穴があるかと思ったのだけど、渡されたメニューを見ても全般的に安いので、大富豪気分で注文する。
 まずはエストニアのビール"Saku Original"(2.5ユーロ)。


 普段お酒は飲まないのだけれど、下手なソフトドリンクを頼むよりも安いので注文してみた。ただし、普段飲まないので味の違いは全く分からない。そんなに苦くない気がする。

 スモークサーモンのサラダ(4ユーロ)。


 サーモンがものすごく旨い。「サーモンの味はノルウェーとの距離に反比例する」という今考えた説を実証。香りがあって、甘くて量もしっかりある。

 トマトとチーズのスープ(2.5ユーロ)。


 トマトの酸味とチーズの旨味、そしてクルトンの山脈がベストマッチ。少しとろみがあって、つけ合わせのパンにつけるとこれがまた旨い。

 そしてメインの"Wild Boar Grill"(10ユーロ)。


 "Boar"がなんだかわからないままに注文。食べても何かわからない。Wildなのに臭みは全くなく、繊維がぎっちりと詰まった歯ごたえ。赤ワイン的なソースも大変おいしい。
 しめて19ユーロ。メインの原材料こそ不明であったけれど(日本に帰ってから調べたら、「Wild Boar」はイノシシらしい。)、大変良い選択であったと思う。タリンにお越しの際はぜひお立ち寄りいただきたい。



 食事を終えて外に出ると、あたりはすっかり暗くなっていた。夜になって展望台に登らない奴はモグリだろうということで、昼間に行った展望台へ向けて歩く。気温も下がってきたけれど、耳つきの帽子が役に立つ。買っておいてよかった。
 大聖堂を横目に見つつ、展望台へ。寒さと手ブレと戦いながら写真を撮る。旧市街は思ったより光源が少なかったのが少し残念。



 帰る道すがら、アレクサンドル・ネフスキー教会の前を通りがかる。夜と、月と、アレクサンドルが醸し出す威圧感が尋常ではない。テトリスの音楽を口ずさみながらシャッターを切る。


 一日中歩き回った疲れと飲めないアルコールのせいですっかりおねむであるけれど、歩きながら明日からの予定を考える。日本ではタリンのあとにサーレマー島へ行って「パンガ断崖」を見たいと思っていたけれど、今では寒いから南下したい気分になっていた。というわけで、翌日はラトヴィアの首都リーガを目指すことにする。
 ショッピングセンター「Viru Keskus」のなかにある観光案内所へ行き、リーガ行きバスのタームテーブルをプリントアウトしてもらう。8時30分発→12時50分着の便があるようなので、それに乗ることに決めた。このままバスターミナルへ行き予約しておこうかとも思ったけれど、寒いのでやめた。
 「Viru Keskus」の隣にあるショッピングセンターに寄ってみると、エストニア代表のユニフォームとおぼしきものを発見。やっと会えたね。けれどあまりにもかっこ悪いので購入を見送ってしまった。
 宿への帰りがけに、明日バスターミナルへ行くためのトラムのチケットと水をキヨスクで購入。水は予想外に炭酸水だった。
 歯を磨いて、9時くらいに就寝。