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2011/03/21

バルト三国旅行記(6/9)|ヴィリニュス。コクッパ。


より大きな地図で バルト三国縦断 を表示

 前日のうちにバスのチケットを買っておくと、座席が確保されたという安心感がある一方で、翌日に「起きなければならない時間」が発生してしまうのが辛い。
 日本を離れて以来、久々にそのような事態になったため、緊張のあまり深夜2時半に一度目が覚めた。トイレに行ってから再び就寝し、改めて5時半に起床。シャワーを浴びて、ひげを剃る。
 出発に向けて荷物をまとめていると、あることに気付いた。日本から持参していたバスタオルがない。どうやら昨日のベッドメイクの際にシーツなどと一緒に持って行かれてしまったようだ。ありがちな白無地のバスタオルだったのが災いした。
 フロントで事情を説明して探してもらおうかと思ったけれど、英語で説明する自信がなかったのと、なんだかんだでかさばるので、ここでお別れすることした。2008年に「荷物を減らすためにバスタオルは持って行くな」と豪語していたことは内緒だ。(参照
 大阪のKitchen Kitchenで買ったバスタオルとラトヴィアで別れることになるとは思わなかったけれど。これからはThe Naughty Squirrelで立派にお役目を果たして欲しいと思う。

 8時半のバスまではまだ時間があったので共有スペースのパソコンで久々に日本の情報を仕入れてみると、アジアカップで日本がサウジアラビアに5-0で勝っていた。
 嬉しかったのでサッカー関連のサイトをひとしきり見て回ると、良い頃合いになったので、ホテルをチェックアウト。大変お世話になりました。
 そして外は雪。この旅行中、日照時間が累計で半日もないのだけれど、例年こんな感じなのだろうか。

 バスターミナルのカフェでサンドイッチとコーヒーを食べる。コーヒーの味はひどいもので、その悪い所だけを厳選して煮出したようだった。



 バスはリーガに来た時と同じ「Simple Express」。始発駅なので当然定刻通りにバスは出発。乗客は僕を含めてわずか5人しかいなかった。

 あいにくのお天気で朝焼けをみることはできなかったけれど、バスは順調にヴィリニュスへ向けてタイヤを転がす。
 9時40分ごろに、ラトヴィア・リトアニア間の国境と思しきゲートを通過。エストニア・ラトヴィア間同様のノーチェックであったけれど、それ以降ガソリンスタンドに出ている価格の桁数が変わっていたので、きっとそうだったのだろう。

 12時30分にバスはヴィリニュスのバスターミナルへ到着。写真の左側に写っているカップルには、末永く幸せでいて欲しいと思う。


 すぐ隣の鉄道駅へいき、インフォメーションで地図をもらい、ATMで現地通貨100Ltを引き出す。

 さて、いよいよ旅の最終目的地、ヴィリニュスに到着。ここヴィリニュスも、エストニアのタリン歴史地区、ラトヴィアのリーガ歴史地区同様に、旧市街がヴィリニュス歴史地区として、世界遺産に登録されている。
 まずは地図を頼りに、ヴィリニュスの拠点となる宿を目指す。例によってHostel Worldで調べておいて、評判の良かった「Jimmy Jumps House」へと向かう。
 駅前の通りを真っ直ぐ進んで、右に曲がり、


 ハレス市場の前を通って、


 「夜明けの門」をくぐって、


 夜明けの門通りのまっすぐ進んでいく。


 ここまで20分ほど歩いて、宿近辺に到着したはずなのだが、なかなか見つからない。
 しかしながらタリンにおける宿探しの経験から、このような場合は道路に面したそれっぽい入口に入り、中庭の一角を探せば良いことを学んでいた。それにより無事に宿を発見。めでたく旅行中の終の棲家に到着した。
 それにしてもJimmy Jumps Houseのノーヒントっぷりは尋常ではない。看板は一切無く、唯一の手がかりはインターフォンにあるこの文字だけである。


 インターフォンを押してドアを開けてもらい、世界各国の宿泊者からのメッセージが書いてある階段を登る。


 フロントには靴を脱いで上がる、ジャパニーズスタイル。街の説明をひと通り受け、3泊分の料金(30Lt×3泊)を払い、ドミトリーへ。部屋には2段ベッドが3つ。リーガで起きた悲劇を繰り返さないよう、今回はベッドの上にしっかりと荷物を置く。



 いよいよヴィリニュス街歩き。と、その前に腹ごしらえ。
 宿でおすすめされたリトアニア料理が食べられる店「Cill Kaimas」へ。


 店内の雰囲気は「薄暗いびっくりドンキー」。
 メニューに写真付きで載っていた、何だかお得っぽいセットを頼んでみる。ウェイトレスさんが何かつけ合わせを選べる的なことを行っていたけれど、後半がよくわからなかったので、適当に返事をしていたら何とかなった。
 まずはよくわからない飲み物。

 どうやらミント+レモン水の模様だ。とても上品な味。味が薄いときには「上品な味」というのが良いと誰かがテレビで言っていた。

 次いで野菜スープ。


 モッツアレラチーズが添えられている。美味しい。ただ、何の野菜かわからない。絶対に食べたことのある味なのだけれど……。
 メインはやはり豚肉。


 火加減が絶妙でうまい。やはり豚肉を扱わせたらレベルが非常に高い。付け合わせの野菜、特にマッシュルームがうまかった。しめて18.99Lt。

 会計を済ませようとすると、ウエイトレスさんがクレジットカードの読み取りに苦戦。万一、カードで払えなかったら所持金が足りない(10Lt)ので、逃げる覚悟を決めていたのだけれど、無事に精算することができた。

 いざ街歩きを開始。
 右手に見えるのはロシア正教の教会。
油絵を売る人々。
バス。


 まず新しい街に来たら高いところに登るのが旅人のたしなみというものであろう。
 ということで、丘の上にある「ゲディミナス城」を目指す。『歩き方』の情報では2009年3月時点で徒歩では登れなくなっているとのことだったけれど、今ではもう登れるようになっていた。ただ、足元が尋常ではないくらい滑るので、人によっては登れないかもしれない。




 何度か足を滑らせつつも、丘の頂上までたどり着くと、ゲディミナス城とはコクッパの城であることが判明した。




 コクッパ城とは言えデカイ。


 丘の上から街をのぞむ。


 ヨッシーの仲間を救出し、丘を下る。マリオは容赦なく城を爆破していたけれど、さすがにそれはしない。

 丘を下ると、西へ進む。やたらでかい大聖堂の脇を通りぬけ、目抜き通りであるゲディミノ通りを歩く。表参道的な雰囲気の通りだ。
 ここをしばらく歩いて行けば、「KGB博物館」にたどり着く。KGB博物館は、KGBが本部として使っていた建物が利用されていて、『歩き方』によると「半端な気持ちでは行かないほうがいい」らしい。何をもって半端な気持ちとするのかが不明だが、とても興味深い。
 ゲディミノ通りを20分ほど歩いて、到着。入場料6Ltで、内部の撮影は禁止。


 KGB博物館の展示は3フロアにわたって展開されているが、圧倒的な存在感があるのが地下にある収容所の展示だ。ここでは当時の取調べや拷問などで使われた部屋が保存され、その多くの部屋に実際に入り、触れることもできる。
 実際に使われた机の木の質感、ベッドの金属の冷たさや、戸棚のきしむ音を体感することができる。なんとなく怖くなり、部屋の奥にいるときは、急に扉が閉められたらどうしようかと、何度か扉のほうを振り返ってしまった。
 なんとなく、「展示に見られている」ような気分がする、不思議な空間である。

 さて、気分がどんよりしたところで、近くにある国立オペラ・バレエ劇場へ。
 リーガでの体験からすっかりバレエ好きとなってしまったので、バレエの公演があればぜひ見たいと思っていた。スケジュールを見ると、翌日の18時30分から公演があるようなので、さっそく窓口に行ってチケットを購入する。劇場の窓口にいるのはいつもおばちゃんだ。


 「明日の公演のチケットをもらえますか?」
 「(画面を見せながら)この席は100Ltで、ここは50Lt…ここは30Ltで、ここは20Ltよ。」
 「じゃあ、ここで。」
 「いいの?そこは30Ltよ?」
 「あ、じゃあこっちで。」
 「はい、20Ltね。」
 なぜおばちゃんに懐具合を見透かされたのか謎だけれど、無事にチケットを購入。
 演目は『The Sleeping Beauty』。『眠れる森の美女』ならさすがに僕も知っているので、話の筋も問題ない。
 そう思いつつも、宿に帰る道すがら『眠れる森の美女』のあらすじを思い出そうと試みたけれど、『白雪姫』とごっちゃになってよくわからなくなった。
 宿の近くまで来たところで、スーパー「Rimi」に寄って、リーガで失ったバスタオルの跡継ぎを探してみたけれど、残念ながらバスタオルは売っていなかった。仕方ないのでバスタオルはあきらめて、日本から持参した手ぬぐいで対応するしかなさそうだ。

 宿に戻って日記を書くなどグダグダしているうちにお腹が空いてきたので、街歩きがてら夕飯を食べに出る。途中通りががった大聖堂の横にある像が、照明に照らされてオーディンみたいになっていた。見事な演出だと思う。



 夕食もリトアニア料理の店「Forto Dvaras」へ。まずはすっかり酒豪となったのでビール(2.95Lt)を頼む。

 
300mlがギリギリ飲める量なのは内緒だ。
 次いで、たぶん赤カブとマッシュルームのスープ(4.7Lt)。


 見た目よりもあっさりしている。載っかったサワークリームがサワーだ。
 さらに、リトアニア名物のツェペリナイ(6.5Lt)。


 「飛行船」が名前の由来らしい。ひき肉をマッシュポテトで包んで茹でてある。体全体ででんぷんを表現した味がする。
 メインはこれまたどっかの地方の伝統料理。鶏むね肉のフライ(14.7Lt)。


 熱々でなかったので味はもう一つ。カーネル・サンダース氏の偉大さが感じられる。
 たぶん「伝統料理」はあまりうまくないから「伝統料理」という枠に追いやられてしまったのだろう。美味しければ、ずっと作られ続けて「家庭料理」ないし「郷土料理」として生き続けているはず。だから、伝統料理は現代料理よりうまくないものだ。などと考えているうちに、お食事は終了。
 店を出ると、肌寒く感じた。タリンやリーガの夜よりも若干冷えるような気がする。
 宿に戻り、歯を磨いて22時過ぎに就寝。