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2010/09/12

トルコ旅行記(5/6)|イスタンブール。昼と夜。

 最後の街、イスタンブールの朝7時。この時間に開いている施設はほとんどないので、『歩き方』に「入場随時」と書いてある「スルタンアフメット・ジャーミィ」通称「ブルーモスク」へ行ってみる。5日前、トルコに着いた初日に外から眺めたけれど中に入らなかったので、初めて中へ。
 朝早い時間なので観光客はは僕以外誰もおらず、数名の教徒が祈りを捧げているのみ。(掃除機をかけている人はいたれけど。)観光施設ではなく、宗教施設としての静謐さに息を呑む。写真を撮るために膝をついたら、なんだか敬虔な気持ちになった。






 お腹が空いたので、モスクを出ておしゃれなカフェ「MADU」で朝食を食べる。「Traditional Turkish Breakfast」を注文したので、材料はこれまでさんざん食べた朝食だったけれど、一つ一つがとても美味しかった。


 次いでアヤソフィア博物館へ向かう。ブルーモスク同様に空いていることを願いつつ、開館時間である9時の10分前に到着。しかし既に門の前には行列が。生理的に並ぶことができない僕にはとてもつらい。
 嘆息しつつ並ぼうとしたタイミングで、引率の先生とともに14~15人の少年少女が列に加わったので、あきらめて先にトプカプ宮殿に行ってみる。
 こちらも入場券を求める行列ができていたけれども、それなりに列が流れている。『歩き方』には9時半開館と書いてあったけれども、9時過ぎには入場できた。

 アヤソフィア博物館は入場料が高い。入場料20TLにハレムは別料金で15TL。オーディオガイド10TLにこれもハレムは別料金で10TL。この期に及んで宮殿の増築でもする気なのだろうか。
 展示は見ごたえがある。けれど、なにぶん広すぎる。きっと芝生で昼寝しながら半日かけて観るのが良いのだろう。僕はだいぶ駆け足で見たけれど、二時間半かかった。




 宮殿を出て、宿に戻る。部屋が空いているはずなので、別の部屋に仮置きしていた荷物を移すためだ。フロントの人が変わっていたので事情を説明する。すると、微妙に話が違って伝わっていた。
 「ああ、202号室のね。ドミトリー(相部屋)に移るんだろ?」
 改めて事情を説明して、シングルルームを用意するように頼む。空室の有無で若干ゴチャゴチャしたものの、無事に403号室へ移動した。トプカプ宮殿のあとに入るTOP DECK宮殿のシングルルームに感慨もひとしおだ。

 シャワーを浴びて、洗濯をしてから、改めてアヤソフィア博物館へ。何しろ天井が高い。




 新しい街に来たからには高いところに上らざるを得ない。街の高台にある「ガラタ塔」に向かう。トラムのスルタンアフメット駅からカラキョイ駅まで行き、そこから歩く。ガラタ塔までの上り坂がきつい。
 実はガラタ塔自体は70mくらいしか高さがないのだけれども、丘の上にあるために、街全体を見渡すことができる。スカイツリーも富士山頂に立てれば良かったのではないかと思ったけれど、たぶん別問題なのだろう。






 ガラタ塔を制覇したことで、イスタンブールの歴史的建築物はもう全て制覇したということにして、次はショッピングセンターを目指す。海外旅行でスーパーとショッピングセンターに行くのは本当に楽しい。
 シシャーネ駅まで歩いて、地下鉄でレヴェント駅へ。この駅には「カンヨン(Kanyon)」と「メトロシティ(Metrocity)」という二つのショッピングセンターが直結している。
 まずはカンヨンへ。やはりここでもセキュリティチェックを受けてから中へ。まずはスポーツショップへ行き、サッカーのユニフォームを探す。
 イスタンブールを本拠地とする主なサッカーチームとして、「ガラタサライ」、「ベシクタシュ」、「フェネルバフチェ」の3チームがある。店にはベシクタシュのユニフォームがあったので買いたかったけれど、合うサイズがなくて断念した。
 お腹が空いたので、4階のレストランフロアを見てまわると、「Wagamama」と「Sushico」という二つの日本料理屋を発見。本場の人として入店し、厨房に緊張感を与えようか思ったけれど、高かったのでやめた。ラーメンが19TL~(約1,000円)は高すぎる。しかも名前が「Chicken Ramen」。チキンラーメンに1,000円はちょっと。
 代わりにご当地メニューを求めてマクドナルドへ。
 カウンターの前で上にあるメニューを眺めていると、カウンターの向こう側にいるクルーの女の子二人組みが、話しながらチラチラとこちらを見ている。メニューを見ている変な極東人が注文に来たら困るけれど、ちょっと楽しみでもあるといった雰囲気だ。
 前に進み、「メルハバ(こんにちは)」と挨拶をすると、二人体制で相手をしてくれる。ちょっと戸惑い気味の女の子と、勝気そうなもう一人の子。戸惑い気味の子がメインで注文を受ける。横でその様子を見守るもう一人。
 「Mac Turco」なるものがあったのでそれを注文する。メニューに番号が振ってあったので、「4」を指で示して注文。
 次にトルコ語で何か聞かれ、意味は分からなかったけれど、たぶんセットか否かを聞かれているはずなので、うなずいてみる。次いでもう一つ聞かれたのだがそれがわからずに少し間が空くと、隣で見守っていた子が、
 「COLA?」
 と聞いてくれたので、「Yes.」と答えた。
 「やるじゃない」的な目で相方を見る女の子と、したり顔の相方。おかげで無事にMac Turcoをゲット。味はきわめてマクドナルド。

 席でMac Turcoを食べていると、カウンターで注文している二人組の少年がチラチラとこっちを見ている。少し微笑んでみると、向こうも笑った。少年たちがソフトクリームを手にして去ろうとしたので、手を振ると向こうも手を振って去っていった。
 少年との交流に心を温めていると、その二人が戻ってきて、僕の二つ隣の席に座った。明らかに絡んで欲しそうだったので、『指さし会話帳』を取り出し、話しかける。

 ドゥーカンとイスマイルは13歳で、フェネルバフチェのサポーター。「どのチームが好き?」と聞かれたので、「フェネルバフチェ!」と答える。さっきベシクタシュのユニフォームを買おうとしていたのは内緒だ。
 『指さし会話帳』を使ってこちらから質問するぶんには良いのだけれど、向こうから聞かれるとさっぱり意味がわからない。イスマイルが気を使ってものすごくゆっくりと喋ってくれるのだけれど、ごめん、早くて聞き取れないとかそういう問題ではないんだ。

 ドゥーカン&イスマイルと別れ、今度はメトロシティへ。
 地下にスーパーがあったので徘徊する。そのスーパーが作っているエコバッグのデザインが良かったので2つ購入。エコバッグを購入する極東人を意外と普通に受け入れるレジのおばちゃんが印象的だった。
 さらに同じ地下フロアに、ガラタサライ・ベシクタシュ・フェネルバフチェのチームショップがそれぞれ並んで入っているのを発見。まずはガラタサライのユニフォームを買って、エコバッグにそれを隠してフェネルバフチェのチームショップでユニフォームを購入。ベシクタシュはなぜかボーイズサイズしかなかったのであきらめる。
 エコバッグ片手にメトロとトラムでスルタンアフメットに戻る。あまりにも地元の人風な様子に客引きが全く声をかけてこなかった。


 翌朝、8時半に目を覚ます。旅行中はいつも6時ごろに起きていたので、なんとなく寝坊した気分。ホテルのテラスで朝食を食べる。






 部屋に戻ってシャワーを浴び、ひげを剃ってから洗濯をする。今日も一日イスタンブールを徘徊すべく、フロントに鍵を渡して外に行こうとすると、
 「チェックアウトか?」
 と聞いてきたので、
 「いや、もう一泊するよ。」
 と言うと、
 「そのこと、誰かに言ったか?」
 との返事。
 最初に二泊分払ってあると伝えると、昨日が二泊目だっただろうと言いはじめる。昨日のドミトリーの件といい、どうも最初からボタンを掛け違えているようだ。
 思えば最初に応対したフロントの英語は微妙だったし、言うまでもなく僕の英語も微妙なので、どこかで齟齬が起きていたのかもしれない。
 話しているうちにお互いイライラして水掛け論に突入。ひとしきり水を掛け合った結果、結局空室はないので僕はこのホテルを出ることに。ただし、僕は荷物を5時間置いただけで設備は一切使っていないから、一泊分の料金は返せと主張する。トイレと水道を使ったのは内緒だ。結局支払い済みの70TLのうち、30TLを返金してもらうことで納得した。
 つまらない揉め事で時間を使って多少不愉快だったけれど、結果的に40TLで一泊できたことはそこまで悪い話ではない。ただし、さっき干したばかりの洗濯物を持って宿探しをしなければいけないのは辛い。
 荷物をまとめて、部屋を出る。多少の悪態をついて出て行こうと思ったけれど、もういい歳なのでやめておいた。彼らも揉め事にまきこまれた被害者である。
 『歩き方』を参考に近くのホテル「マルマラ(Marmara)」へ。ベルを鳴らすと、ドアが開き、40歳くらいの男性と、バックパックを背負ったブロンドのメガネ女子が降りてきた。彼女はオーナーの娘らしく、日本語を話す。
 「コンニチハ。このホテル、今部屋ないですけど、私たちのもう一つのホテルあります。もし良かったら、今から行きますか?」
 彼女は今から車で空港に行くそうで、そのついでに乗せて行ってくれるらしいので、さっそく同乗する。値段を聞くと一泊50ユーロだったが、値引きして40ユーロ(80TL)にしてもらった。それでも高いけれど、最後の夜なのでリッチに過ごすことにした。
 ホテル「サルハン(Saruhan)」の前で降ろしてもらい、フロントに通されたところで彼女と別れる。そして通された503号室は、これまでとは別世界。広いベッド、エアコン、シャワーとトイレの間に仕切り、小さいけれどテラスもある。ここは地上の楽園だろうか。スルタン気分でベッドに横になる。TOP DECKともめてよかった。






 今日の街歩きを開始。とりあえずの目的地をオールド・バザールに定める。ホテルが安宿街から少し離れているので、静かな住宅街を歩けるのが楽しい。
 オールド・バザールに到着。雑多な土産物屋が並ぶアーケード街。こういう類は半年前にモロッコで飽きるほど見たので、華麗にスルー。


 昨日のブルーモスクが好印象だったので、別のモスク「シュレイマニエ・ジャーミィ」を、目指して歩く。途中、イスタンブール大学周辺を通る。トルコ感がすごい。


 シュレイマニエ・ジャーミィに到着し、敷地内にある霊廟を見学。綺麗だけど、この系統の文様は正直ちょっと見飽きている。




 そのままガラタ橋方面へ歩く。途中、「NIXE」のスニーカーが売っていたので、買おうかと思ったけど、僕には履きこなせそうもなかったので断念した。。


 ガラタ橋は昨日はショッピングセンターに行く際にトラムに乗って渡っていたので、自分の足で歩いてみる。
 橋から釣りをする人がやたら多いけれど、誰一人として釣れている様子が全くない。彼らは釣り人ではなく、糸を海に浸すのが趣味なのかもしれない。


 ガラタ橋を渡ったところで、オレンジジュースの屋台を発見。1杯1TLと安いので注文する。オレンジ2個半くらいをその場で絞ってくれる。甘みが強く、酸味がほとんどなくて、とてもおいしい。




 トラムでスルタンアフメットに戻る。暑いので、マクドナルドでソフトクリームを食べる。これも1TL。トルコといえども、これは流石に伸びなかった。

 一旦ホテルに戻り、昼寝。このベッドで一回しか寝ないなんてもったいない。

 夕方に再び外出。再びマクドナルドへ行き、今度はマックフルーリーを食べる。日本のものよりちょっと小さい。
 観光地を訪れるのも飽きたので、イスタンブールの日常を知るべく、トラムに沿って観光地と反対方向に歩く。やたらと洋服屋が多い。トルコの人口とマネキンの数はそう変わらないのではないだろうか。
 結局トラム4駅分。深夜3時に放り出された、懐かしのアクサライまで歩いたところで、夕食を食べる。王道のケバブ。多少クセがあるけれど、「肉を食べてます!」という感じで美味い。


 イスタンブール最後の夜、夜景を取らずにはいられないので、写真を撮りながらスルタンアフメットまで戻る。




 ブルーモスクの近くまで歩いてくると、なにやらステージが組まれているのを発見。無料のようなので座って待っていると、メレヴィー教徒の旋舞「セマー」がはじまった。優雅な回転と見事な足さばきに感心する。一人混じったちびっ子セマーゼ(セマーの踊り手)が可愛かった。




 最後の夜に、良いものを観ることができた。
 明日、イスタンブールを発つ。

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