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2012/03/25

キナバル山登山記録(2/4)|シンガポール→クアラルンプール→コタキナバル

2011年9月4日(日)シンガポール
 寝過ごした。
 正確には二度寝した。アラームに従って6時に一旦起きたものの、気がつけば6時40分。クアラルンプールへのフライトは10時半だ。フロントで空港までの所要時間を聞くと、約1時間とのこと。90分前に空港着を目指すとなると、街歩きの時間は取れそうもない。



 何はともあれ、朝食をゆっくり食べることにした。トーストを2枚焼いて、イチゴのジャムを塗る。インスタントコーヒーに砂糖を一袋。



 8時前までのんびりして、宿を出る。最寄りの駅までは路線バスに乗る。最高に怖くて楽しい海外旅行中のローカルバス。行き先、支払い方法、降車バス停のすべてがよくわからない緊張感がたまらない。
 今回は乗車時に1ドルを支払う模様。フロントで教えてもらった「3つ目のバス停」という言葉を心のなかで何度も復唱しながら、必死に通り過ぎたバス停を数える。
 神経をすり減らしつつも無事にLavender Sta.で下車。MRTでチャンギ空港に戻る。
 果たして僕は何をしにシンガポールに来たのだろうか。ちなみにマーライオンは観ていない。
 空港に到着すると、AirAsiaのチェックインカウンターを目指すのだが、空港が広くて場所がよくわからない。駅の看板にデカデカと「あなたのターミナルは正しいですか?」と書いてあるけれど、正しいか聞きたいのはこっちである。



 ターミナル間をつなぐ「スカイバス」を乗り継いで、AirAsiaのカウンターになんとかたどり着く。カウンターは大混雑だった。朝のうちにWebチェックインを済ませておいたので、Document Checkの比較的短い列に並び、手続きをする。
 預ける荷物の有無を聞かれ、「ない」と答える。実はバックパックの大きさが持ち込み可能なサイズのギリギリであったため、内心は若干の不安があった。事前に可否を確認したほうが確実ではあったけれど、なまじ申告して持ち込み不可と言われるリスクもある。そこでアジアの仕事レベルに期待して、何も言わずにおくことにした。
 手荷物検査を終えて、搭乗手続きへ。特に荷物の大きさについて何も言われることはない。明らかに僕よりデカい荷物の人や、3つ以上の手荷物がある人もスルーされている(原則手荷物は1人1つまで)ようなので安心し、大船に乗った気持ちで飛行機に乗る。





 初めてのエア・アジア。都営大江戸線的なサイズの機体を想像していたけれど、意外と普通の大きさだ。座席の幅もいつものエコノミーサイズ。ただし聞いていた通り、エンターテイメントはもちろん、飲み物も毛布もない。
 「エア・アジアはよく遅れる」とも聞いていたけれど、僕の乗った飛行機は定刻通りに運行している。遅れのリスクを考慮して乗継便に余裕をもたせていたけれど、もう少し詰めても良かったのかもしれない。



 クアラルンプールへは1時間で到着。LCCを利用するような貧民はターミナルから遠い場所に降ろされ、そこから歩かなくてはならない。



 マレーシアの入国審査で驚かされたのは、列がフォーク式に並んでいたこと。どの列が早いか(どの審査官が適当か)を選択する楽しみがなくなってしまうけれど、とても合理的だ。



 そしてマレーシアへ入国。その足ですぐに、クアラルンプールからコタキナバルへ、再びエア・アジアで乗り継ぐ。エア・アジアが定刻通りに着いたおかげで、次の便まで時間が空いてしまった。



 空き時間で売店へ行き、ミーゴレンを食べる。
 定刻近くになったので、搭乗ゲートへ向かう。そのまましばらく待つけれど、定刻になっても搭乗を開始しない。そもそも乗り込むべき飛行機が到着していない。これが噂のエア・アジアのクオリティか。結局定刻から20分ほど遅れてようやく搭乗開始。

 クアラルンプールからコタキナバルまでは2時間半。到着したのは17時。国内線のはずなのだが、なぜかパスポートチェックを経て到着ロビーへ出る。
 さて、ここからが今回の旅行における山場の1つである。予定では、明日の朝にキナバル山への登頂を開始する予定だ。
 キナバル山へはコタキナバルから翌朝早くのバスで向かうこともできるが、その場合は登山の開始が早くても10時ごろになる。その点、前日(今日)のうちにキナバル山近くまで行き、前泊しておけばより早い時間から登頂を開始できるし、高地順化の面でもきっと良いだろう。
 前泊するための課題は、夕方にコタキナバルからキナバル山(キナバル公演)方面に行くバスがあるか否かだ。
 『地球の歩き方』では、バスの時間は最も遅いもので17時と書いてある。一方でトリップアドバイザーでは夜に出るバスもあると書いてあり、事前に日本で色々調べたけれど、正確なところはわからずにいた。
 事実を確かめるべく、空港内にあるマレーシア観光局のお姉さんに確認すると、
 「17時のバスが最終だから、もう無いかも。でも運が良ければまだ出発してないかもね。」
 とのこと。
 マイケル・J・フォックスには及ばないかもしれないけれど、僕も運の良さには定評がある。バスがあることを期待してムルデカ広場前のバスターミナルへ向かう。エアポートタクシーのカウンターでチケット(30マレーシアリンギット=約800円)を買って乗車する。
 タクシーの運転手に行き先を告げると、彼は「もうバスは無いと思う」と言っていた。残念ながら僕の強運はここマレーシアまでは轟いていないらしい。

 20分ほどでバスターミナル(と言うよりもただの広場)に到着し、バスが1台も止まっていなことをすみやかに確認。
 前泊の夢、ここに散る。
 前泊用にキナバル山近くの宿を予約していなかったことを前向きにとらえ、コタキナバルでホテルを探す。そしてバスターミナル近くのJalan Gaya通りにあるNorth Borneo Cabinへ。当然予約はしていなかったけれど、ベッドに空きがあったので無事にチェックインすることができた。



 荷物を置いて、海の方へ歩く。夕日は綺麗で、海はやや臭い。
 ショッピングセンターを冷やかしてから一旦宿に戻り、フロントでオススメの食事処を聞く。豚肉を食べられるなら、宿のすぐ下にある店が安くておすすめだと教えてくれた。宿についた時から気になっていたあのローカルな雰囲気の食堂か。



 改めて下に降りると店はかなり繁盛している。ほぼ満席だ。見ていると何かの煮込み料理を出しているらしい。店内は店員も客も中国系の人で一杯で、すぐ上の宿は欧米人ばかりなのに、ここには一人もいない。





 なんとか空いている席を見つけて座ると、お茶とお湯に入った食器が出てきた。お茶をいただきながら周囲の様子をうかがっていると、どうやらウェイターに声をかけて注文し、テーブルに持ってきてもらう方式であるようだ。
 やり方は分かったものの、そもそも何があるのかわからない。さらにこの店では中国語が公用語らしく、何を言えば良いのかも皆目わからない。

 海外でこのような状態におちいった時の解決策はただ一つで、「途方にくれている外国人オーラ」を全力で発散するしか無い。
 神経を集中してオーラを放出し始めてしばらくすると、黄色いTシャツを来た定員のおばちゃんが英語で話しかけてきてくれた。
 注文は何か聞かれたけれど、前述のとおり何があるかわからないので、おばちゃんの気まぐれコースをオーダーした。



 そして出てきたのが、豚肉とその内臓とおぼしき煮込み、それに厚揚げの煮物とごはんそれにスープだ。煮込みは柔らかくて、国立競技場で売っていそうな味だけれど、漢方の風味がある。(あとで調べるとこれは「バクテー(肉骨茶)」という料理らしい。)



 おいしいので、先ほどのおばちゃんにまた別のものをオーダー。今度はミートボールと骨付き肉。素朴な味でこれも美味しかった。

 店を出てから少し散歩をして、宿に戻ってからビールを飲む。普段お酒は飲まないのだけれど、海外旅行中だけはなんとなく飲むことにしている。
 明日は7時のバスでいよいよキナバル山へ向かう。
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